先月、ひとつの調査結果が発表されました。
出産を経験した女性1,000人に、尿もれのことや
骨盤底筋トレーニングのことを尋ねたものです。
高知大学の研究グループによるもので、
2026年10月、国際的な医学の雑誌に掲載されました。
数字を見ていて、
「ああ、やっぱり」と思うところと、
「これは伝えたい」と思うところがありました。
今日は、その話をさせてください。
はじめに、この調査の限界から
数字の話に入る前に、先にお伝えしておきたいことがあります。
この調査は、
・インターネットで答えてくださった方の調査です
(くじ引きのように無作為に選ばれた1,000人ではありません)
・ですので、日本の女性全体の割合を表すものではありません
・原因と結果を示すものでもありません
・産後すぐの方ではなく、出産から何年か経った方が中心です
このことは、論文を書いた研究者の方々ご自身が
はっきりと書いておられます。
そのうえで。
それでも、数字の「並び方」には
考えさせられるものがありました。
もれることがある方は、10人に4人
まず、尿もれそのものについて。
41.6% の方が、
「もれることがある」と答えていました。
10人に4人です。
そのうち、
中くらい以上の強さの方が 28.1%。
決して、少数の方のお悩みではありません。
でも、相談している方は、ほとんどいませんでした
ここからが、考えさせられるところです。
尿もれを主な理由として
医療機関を受診した方は、1.7%。
さらに、
「もれることがある」と答えた416人のうち、
56.2% の方が
「受診するつもりはない」と答えていました。
半分以上です。
cocotiでも、
「これくらいは、産んだらみんなあることだから」
とおっしゃる方が、とても多いです。
話してくださったあとに
「言ってもいいことだったんですね」
と言われることもあります。
この調査の数字は、
そういう場面を思い出させるものでした。
いちばん考えさせられたのは、この並びです
骨盤底筋トレーニングについての数字を、
順番に並べてみます。
・「大事だと思う」と答えた方 51.6%
・産後に実際にやってみた方 20.7%
・指導を受けたことがある方 16.3%
・「指導をしてほしい」と答えた方 45.0%(希望の1位)
大事だと思っている方は、半分いらっしゃいます。
教えてほしいと思っている方も、半分近く。
でも、実際に教わったことがある方は、
6人に1人。
希望と、受けられている機会のあいだに、
はっきりとした差がありました。
「やる気」ではなく「機会」の話かもしれません
この調査には、もう一つ、
気になる数字がありました。
骨盤底筋トレーニングを「大事だ」と思っている方の中で、
・やっていない方のうち、指導を受けたことがあるのは 6.4%
・やっている方のうち、指導を受けたことがあるのは 58.9%
9倍以上の差です。
この調査は原因と結果を示すものではないので、
「指導を受けたから続いた」とまでは言えません。
ただ、
「続かない」のではなく、「始め方を知る機会がなかった」
という方が、少なくないのかもしれません。
骨盤底筋は、外から見えません。
動かせているのかどうかも、
ご自身では分かりにくい場所です。
だから、一度でも
「ここが動いている感じ」が分かると、
その後がまったく違ってきます。
妊娠中の尿もれが、いちばん関係していました
もう一つ、大事な結果がありました。
今の尿もれと最も強く関連していたのは、
妊娠中に尿もれがあったことでした。
関連の強さは、およそ 1.85倍。
ここでも、「関連」であって「原因」ではありません。
ただ、妊娠中に気づいたことが、
そのあとまで続いている方がいらっしゃる。
そう考えると、
妊娠中に「あれ?」と思ったときが、
ひとつの始めどきなのだと思います。
妊娠中にできることは、
妊娠中の運動|どのくらい?何をする?やめどきは?
にまとめています。
望まれていた環境のこと
この調査では、
どんな環境でケアを受けたいかも尋ねられていました。
多かったのは、
・家の近くで受けられること
・女性の担当者であること
・プライバシーに配慮されていること
でした。
これを読んだとき、
特別なことは何も書かれていないな、と思いました。
近いこと。
話しやすいこと。
見られていないこと。
この3つがそろっていないだけで、
相談そのものが遠くなってしまうのかもしれません。
では、何から始めたらいいのでしょう
骨盤底筋トレーニングの進め方については、
別の記事にまとめてあります。
産後の尿もれ|どのくらいの方に起こって、どうすると変わるのか
研究では、産後3か月・6か月の時点で
変化が見られたと報告されています。
すぐに変わるものではありませんが、
続けた先に変化がある、ということでもあります。
こんなときは、医療機関へ
・急に強い尿意がきて、間に合わない
・排尿のときに痛みがある、血が混じる
・下腹部の重い感じ、会陰部に何か触れる感じがある
こうしたときは、
婦人科や泌尿器科の先生にご相談くださいね。
最後に
この調査を読んで、いちばん強く思ったのは、
尿もれは「年のせい」でも
「産んだのだから仕方ないもの」でもなく、
教わる機会が、まだ足りていないだけ
なのかもしれない、ということでした。
41.6%の方がもれることがあって、
45.0%の方が「教えてほしい」と思っていて、
でも教わったことがあるのは16.3%。
この差は、
ご本人の努力の差ではないと思うんです。
cocotiでは、
- 今の骨盤底の状態をお伝えすること
- ご自身に合った動かし方を見つけること
- 続けられる形にして、お持ち帰りいただくこと
を大切にしています。
個別のconditioningも、グループのexerciseも行っています。
この記事が、どなたかの「言ってみよう」につながりますように♡
参考にした研究
- Ide Y, Shimizu N, Hyohdoh Y, et al. Urinary Incontinence, Pelvic Floor Care, and Support Preferences Among Parous Women: A Cross-Sectional Online Survey. International Urogynecology Journal. 2026. doi:10.1007/s00192-026-06942-8
- 高知大学プレスリリース「出産経験女性の尿もれと骨盤底ケアの実態を調査 求められる支援のあり方を明らかに」(2026年10月26日)
※この記事は、一般的な情報をお伝えするものです。
症状の感じ方は方によって違いますので、気になるときは
かかりつけの医療機関にご相談ください。
