過活動膀胱|なぜ起こるのか。骨盤底筋との関係も

前に、産後の尿もれについて書きました。

くしゃみや抱っこでもれてしまう、
腹圧性尿失禁 のお話です。

今日は、もうひとつのタイプのお話です。

・急に、強い尿意がくる
・我慢がきかない
・トイレまで間に合わないことがある
・日中も夜も、トイレが近い

こちらは 過活動膀胱 と呼ばれます。

「なぜ起こるんですか?」
「骨盤底筋が弱いからですか?」

よく聞かれるので、
今日はここをまとめてみますね。

もれなくても、過活動膀胱です

学会の定義でいちばん大事なのは、

「急にきて、我慢しにくい尿意」があること。

もれるかどうかは、条件に入っていません。

もれていなくても、
「急にきて困る」があれば
過活動膀胱にあてはまります。

どのくらいの方に起こるのでしょう

日本では、40歳以上の 12.4% の方に
この症状があると報告されています。

8人に1人ほど。

めずらしいものではありません。

妊娠中と産後では、こんな報告があります。

  • 妊娠中期:約18%
  • 妊娠後期:約31%
  • 産後6週:約6%

妊娠が進むほど増えて、
産後は下がっていく。

大きくなった子宮が膀胱を圧迫することを思うと、
納得のいく流れですね。

ただ、この研究では
産後も症状が続く方が19% いらっしゃいました。

「そのうち治る」とも
言い切れない、ということです。

膀胱の中で、何が起きているのでしょう

ふだん、尿をためているとき、
膀胱の筋肉はゆるんでいます。

脳がブレーキをかけている状態です。

過活動膀胱は、
このブレーキのバランスが崩れています。

崩れ方は、ひとつではありません。

① 脳からのブレーキが届きにくい

脳や脊髄の病気があると、
指令がうまく伝わらなくなります。

② 膀胱の筋肉が、勝手に動き出す

膀胱の筋肉そのものの性質が変わって、
小さな動きが出てくる、という考え方です。

きっかけとして挙げられているのが、
血流の低下です。

③ 膀胱の内側が、敏感になる

膀胱の内側は、
ただの「内張り」ではありません。

ふくらみ具合を感じとって、
脳に伝えるセンサー
として働いています。

過活動膀胱では、このセンサーから出る信号が
強くなっていることが分かってきました。

同じ量の尿がたまっていても、
伝わる合図が大きくなっている
ということですね。

そして、この3つは別々ではありません。

血流が下がる → 膀胱の壁が変わる
→ センサーが敏感になる
→ 脳の側も敏感になっていく。

こんなふうに、つながっていきます。

検査で異常が出ないこともあります

ここは、お伝えしておきたいところです。

膀胱の検査をしても、
尿意切迫感のある女性のうち、
はっきり異常が見つかるのは44%

と報告されています。

半分以上の方は、検査には出ない。

でも、症状は確かにあります。

「何ともないと言われました」

という方がいらっしゃいますが、

気のせいだ、という意味ではありません。

しくみがひとつではないからこそ、
検査に出る人と出ない人がいる。

そういうことなんですね。

骨盤底筋は、弱いのでしょうか

よく聞かれるところです。

先にお伝えすると、

「弱い」と「硬い」は、別のものさしです。

筋力 = 締めたときの力
緊張 = 何もしていないときの張り

弱くて、かつ硬いということも起こります。

産後の尿もれ全般では、
締める力が強い方ほど
困る尿もれが少ない、という結果が出ています。

ところが、
急にくるタイプの方を調べた研究では、
骨盤底筋の力に差がありませんでした。

代わりに差が出たのは、
股関節まわりの筋力でした。

一方で、

骨盤底筋をゆるめられない

という方もいらっしゃいます。

これは、もれないタイプの過活動膀胱と
よく似た症状を出すことが知られています。

ただ、ここは正直に書いておきますね。

「過活動膀胱の方は骨盤底が硬い」

と言い切れるだけのデータは、
まだそろっていません。

つまり、

・弱い方もいらっしゃる
・ゆるめられない方もいらっしゃる
・別のところが関わっている方もいらっしゃる

「とりあえず締める」でも
「とりあえずゆるめる」でもない。

まず、今の状態を見てみる。

そこからだと思っています。

では、何ができるのでしょう

日本のガイドラインでは、
いきなりお薬ではなく、
まず行動からとされています。

① 膀胱訓練

尿意を感じても、すぐに行かず、
我慢する時間を少しずつのばしていく方法です。

最初は5分ほどから。

② 骨盤底筋トレーニング

過活動膀胱のある女性を対象にした研究で、
生活の質が良くなったと報告されています。

③ 急な尿意がきたときの、あわて方

これは知っておくと役に立ちます。

骨盤底筋を締めると、
膀胱の収縮が抑えられる

という反射があります。

急いでトイレに向かうと、
体が揺れて膀胱が刺激されて、
尿意はもっと強くなります。

だから、

1. いったん、止まる
2. 骨盤底筋を数回、きゅっと締める
3. 波が引くのを待つ
4. それから、ゆっくり歩き出す

④ 生活の中で見直せること

・カフェインや炭酸のとりかた
・水分をとるタイミング
・便秘を整える
・睡眠
・冷えや、座りっぱなしの時間

地味ですが、
血流や自律神経が関わっていることを思うと、
つながっているのが分かると思います。

こんなときは、医療機関へ

・急な尿意で、間に合わないことがある
・尿に血が混じる、排尿のときに痛みがある
・熱が出ている
・尿が出しきれていない感じがある
・産後1年たっても、変わらない

こうしたときは、
泌尿器科や婦人科の先生にご相談ください。

膀胱炎などが隠れていることもあります。

過活動膀胱は、診断が必要なものです。

自己判断の前に、まず診てもらうこと。

そこは、はっきりお伝えしておきますね。

最後に

いちばんお伝えしたかったのは、

「これは、意志の弱さではない」

ということです。

膀胱の筋肉、内側のセンサー、神経、脳。

いくつもの場所が関わって
起きていることです。

そして、

骨盤底筋が弱いせい、とも限りません。

だからこそ、
「とりあえず締める」の前に、
今の状態を知ることから。

cocotiでは、

  • 今の骨盤底の状態をお伝えすること
  • ご自身に合った動かし方を見つけること
  • 続けられる形にしてお持ち帰りいただくこと

を大切にしています。

(診断やお薬は医療機関の役目ですので、
 必要なときは受診をおすすめしています)

個別のconditioningも、グループのexerciseも行っていますので、
一緒に取り組みませんか〜?

この記事が、お役に立ちますように♡

参考にした論文・資料

  • Pathophysiology of Overactive Bladder and Pharmacologic Treatments Including β3-Adrenoceptor Agonists. International Neurourology Journal. 2024.
  • Peyronnet B, et al. A Comprehensive Review of Overactive Bladder Pathophysiology. European Urology. 2019.
  • Overactive bladder symptoms profile and related factors among women during the perinatal period. BMC Pregnancy and Childbirth. 2025.
  • Hip and Pelvic Floor Muscle Strength in Women with and without Urgency and Frequency Predominant Lower Urinary Tract Symptoms. Journal of Women’s Health Physical Therapy. 2021.
  • Worman R, et al. Evidence for increased tone or overactivity of pelvic floor muscles in pelvic health conditions: a systematic review. American Journal of Obstetrics & Gynecology. 2022.
  • Efficacy of pelvic floor muscle training in women with overactive bladder syndrome: a systematic review. International Urogynecology Journal. 2018.
  • 過活動膀胱診療ガイドライン[第3版](日本排尿機能学会/日本泌尿器科学会・2022年)
  • 広島大学 腎泌尿器科学「過活動膀胱」

※この記事は、一般的な情報をお伝えするものです。
診断や治療にあたるものではありません。
気になるときは、かかりつけの医療機関にご相談ください。

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